○幼少~学生時代についてお聞かせ下さい。
子どもの頃は、人と遊ぶよりも一人で過ごすことが多かったですね。高校に入ったころからインテリアに興味を持ち始めました。進学については大学か専門学校かで迷ったのですが、手に職をつけたいと考えて専門学校に入学。インテリアの勉強を始めました。その中で安藤忠雄の作品と出合い、自分もいつかこんな作品を建てたいと思い、建築家を目指すようになりました。
○社会人(サラリーマン)時代についてお聞かせ下さい。
専門学校を卒業後、建築事務所へ就職。2年ほど勤めて退職し、ヨーロッパ横断のバックパッカーの旅に出ました。帰国後は大手建築事務所に入社。約4年勤務した後に独立を果たしました。
独立後は仕事にあぶれることもなく、順調でした。それまでお付き合いのあった方々から、仕事を紹介していただけたので。独立して一人で仕事をするようになってから、かえって人との繋がりの大切さに気付き、人間関係を大切にするようになりました。
○経営者としての喜びや苦労についてお聞かせ下さい。
スタッフ達が育っていく姿を見ることです。できなかった仕事がこなせるようになったり、知識が増えたりなど、彼らの成長は私の喜びです。
夢を叶えるために私の事務所で経験を積んで、どんどん巣立っていってほしいです。
○今後の社長自身の目標をお聞かせください。(プライベートでも構いません)
まず当社の個性や考えを、仕事を通してもっと広く知ってもらわなければなりません。私たちの存在を認めてもらい、社会に必要とされる会社へと育てていきたいのです。
それには私たちも、社会に対して何ができるのか、どう役立てるのかを見つめなおさなければなりません。
○日本の構造問題として改革・改善したいことがあればお聞かせください。
私は世界を旅してきましたが、ヨーロッパでもアジアでも、人々の表情は私達日本人よりも明るく、フレンドリーです。松下幸之助夫人の言葉で「挨拶は敵か味方を見分ける儀式です。挨拶をしないと、敵と見なされても仕方がない」という主旨のものがあります。笑顔についても同じです。みんながしっかり挨拶をし、笑顔を交わしあえるようになれば、心豊かな素敵な国になると思います。
また日本のメディアが流すニュースは暗いものがほとんどです。国民の感情に対してメディアがもつ影響力は甚大ですから、もっと明るいトピックも取り上げて、人を勇気づけたり幸せな気持ちにさせてほしいですね。
○御社の仕事の魅力と苦労をお聞かせ下さい。
当社では、建築デザインだけでなく、建築に関わる仕事を包括的に行っています。たとえば建築物や当社をPRするイベントをはじめ、ポスター制作なども自分達で手掛けていますので、建築に関わる仕事を概ね体験できます。
また、シャッターストリートの再生など社会貢献になる仕事もしていますので、やりがいもあります。
○御社の強みをお聞かせ下さい。
私自身、旅が好きなこともあり、ヨーロッパを始めアジアなど海外の建築物への造詣もありますから、幅広い知識やデザインで、お客様の要望に応えられます。
また、建築物の素材選びにはこだわっています。人の肌に触れる物ですから。私の選定基準は“食べたくなる素材”かどうかです。木でも手触りが良さそうなものや香りのいいものなど、本能的にそそられるものを選んでいます。
○今後、どのような人材が欲しいかをお聞かせ下さい。
多才な人物を望みます。技術だけでなく、営業力も備えているなど、いろいろな能力を持ち合わせている方がいいですね。また建築には幅広い知識が役立ちます。ですから様々なことに興味が持てるのも能力の一つです。特に独立をめざすなら、包括的な能力を身につけないといけません。
○会社の理念と今後の目標を教えて下さい。
「人を大切に、伝統を守りながら革新しつづける」が当社の理念。伝統は大切にしながら、常に新しい価値を求め続けています。また建築物は人を幸せにするためのものですから、お客様だけでなく関わる人たち全てを大切にしていきたいと考えています。
○日本を背負う若者へのメッセージ
ゴールへ向けて、1本の道を突き進むのもいいですが、もっとわき道にそれて、色々な経験を積んでください。一見、自分の目標とは関係のないことのように見えても、多くの人と出会ったり、色んな業界に触れたりしてください。そうした経験の積み重ねが、自分の世界を広げてくれますよ。
また旅行でもいいですから、海外を肌身で知る事も大切です。日本は安全でいい国ですが、ここしか知らないと、危機感のない甘い人間になってしまいます。仕事をする上でも危険を察知する能力は必要です。危ない話や、人をだまそうとする人物をかぎわける力も身につけてほしいですね。