○幼少~学生時代についてお聞かせ下さい。
男ばかりの3人兄弟の長男として、生まれました。
小学校の頃は1つ下の弟とよく一緒に登校していました。1つしか年齢が違わないので、教室が近く、弟が虐められているのを見つけたときは、良く助けに行ったりしていましたね。
中学は地元の公立中学に通っていたのですが、勉強にとても力を入れている学校だったので、遠方からわざわざ住所を変えてまで通っている生徒がいるようなところでした。テストの度に成績と順位が張り出される学校で、それが普通だと思っていたので、当たり前ではないと知って、ずいぶん驚いたのを覚えています。
中学で沢山勉強をした分、高校は部活動にのめり込みました。野球部に入るつもりだったのですが、入学式で合唱部の歌声に感動し、即入部を決めました。様々なイベントに参加することが多かったので、充実した日々でした。
大学ではどちらかというと、年上の人とよく遊んでいましたね。社会人の合唱団に所属し、そちらの友達と遊ぶことが多かったので、学校は授業の時にだけ通うような形でした。合唱団の友人とよく飲みに行ったり、旅行にでかけたりしていました。
○社会人(サラリーマン)時代についてお聞かせ下さい。
大手電機メーカーに勤めて、東京に3年ほど勤務していました。
とにかく家業を継ぐのが嫌で、わざと勤務地の希望を実家から遠くしていましたね。
はじめは広報として、1年半ほど仕事をしていたのですが、やはり営業がしたいと思い、自身の希望で営業部への異動をしました。営業の仕事は肌に合っていたのか、よく表彰をいただいたりもしていました。
会社の寮に入っていたので、給料日には同僚や先輩たちと飲みに行ったり、ドライブに行ったりとよく遊んでいました。
営業で仕事をしている時から、実家の近況を聞いて、家業があまり上手くいっていないことを知りました。随分と悩みましたが、家業を継ぐことを決意し、今に至ります。今思えばこの選択をする頃が一番悩みの多かった時期かもしれません。
○経営者としての喜びや苦労についてお聞かせ下さい。
会社の業績が計画通りあがった時はやはり、最高に嬉しいですね。何事にも替え難いです。
利益が出て、会社のみんなで「旅行に行くか」「飲みに行くか」という話をしている時が一番楽しいです。
苦労は、印刷業界の縮小の大きな流れですね。
時代の移り変わりによって、宣伝の媒体が印刷物からWebへの移行が多いため、1つの仕事に対しての量は減ってきています。お取引をいただいているお客様の数は変わらないのですが、以前に比べれば、手間がかかる割には売り上げが上がらないというのが悩みです。
それに対して、自分たちがどういったアプローチができるのかが課題ですね。
ここを乗り越えなければ「セントウェル印刷に関わる全ての人の幸せを実現する」という理念は叶えられません。今が踏ん張りどころだと考えています。
○今後の社長自身の目標をお聞かせください。(プライベートでも構いません)
将来的には田舎に住んでみたいですね。
私の趣味が野菜づくり、花づくりなので、季節に合わせて田畑を耕し、色々な野菜を育ててみたいです。
その時はヤギを飼いたいですね。ヤギはおとなしいですし、ミルクも出ますし、田畑に生えた雑草を食べてくれます。自給自足をしてみたいですね。
○日本の構造問題として改革・改善したいことがあればお聞かせください。
政治と経済の中心地を変えていきたいですね。
今は、東京に政治と経済が集まっている状態です。そのため、東京という場所の魅力が強くなり、企業や人の集積率が他の地域より圧倒的に高い状況になっています。
例えば、アメリカではワシントンは政治、ニューヨーク・ロサンゼルス・サンフランシスコなどはそれぞれの特色を持った経済の発展を遂げています。日本も同じように、政治と経済の中心地を分けることで、それぞれの地域の色を出し、人や企業の過度な集積を防ぎ、活性化できるのではないかと思います。
○御社の仕事の魅力と苦労をお聞かせ下さい。
魅力としては、中小企業の情報発信を支援するあらゆるノウハウと人的資産があることですね。
単に印刷物を作成するという考えではなく、企業のプロモーションを行うための1つのツールとして印刷物がある、という考え方で仕事をしています。そのため、印刷物以外にも、Web制作、動画編集など、様々な媒体をミックスして、費用対効果の高い情報発信の提案を行っています。
そのため、弊社で働いているデザイナーにとって、ただグラフィックデザインをするという気持ちではなく、企業の情報発信をするためにデザインを行う、という気持ちで取り組んでもらっています。よりお客様の気持ちを理解し、カタチにできる力が付くのが魅力ですね。
苦労は、印刷業界の縮小です。
経営者としての苦労でもお話しましたが、印刷業界のニーズの縮小に対して、どのようなアプローチができるのかが、今後の課題です。
○御社の強みをお聞かせ下さい。
1つ目は、企業様の情報発信のツールとしてお使いいただけることです。
弊社では、印刷関連からWebプロモーションまで、企業のプロモーション活動のほとんどを担うことができます。そのため、宣伝内容がブレることなく統一して行うことが出来ます。
2つ目は、社内のデザイナーが直接お客様とやりとりを行うため、お客様の意思をくみ取りやすいです。
お客様一人ひとりにじっくり時間をかけてしまうので、効率は悪いですが、齟齬がなく、思いをカタチにしやすいのがウリです。
3つ目は、立地の良さですね。梅田に構えているので、お客様から用事のついでに寄りやすいと評判です。デザイナーとお客様がうちの応接室をよく使うことがあるので、応接室は基本的に予約制ですね。
あとは、社員全員が経営者の視点で物事を見られることです。
うちでは毎朝、試算表を配り、個人の利益などを確認できるようにしています。
ただ経理の公開をするだけでなく、社員には数字の意味を教えているので、どうして売り上げを上げなければならないのか、そのためには何が必要なのかをしっかりと理解してくれています。
「わからない」と思うことを無くしているお陰なのか、梅田に移転してからは一人として会社を辞めていません。
○今後、どのような人材が欲しいかをお聞かせ下さい。
デザイン能力のある方を求めています。
色の使い方なども大切ですが、それだけではなく「コミュニケーション能力」という意味も含んでいます。
きちんとお客様の目を見て、お声をくみ取り、どういったものを求めているのか。これをカタチにすることが「デザイン能力」だと考えています。
あとは、私からの視点で言えば「この子を育てたい」、社員からの視点では「この子と一緒に仕事がしたい」と思える人を採用しています。
○会社の理念と今後の目標を教えて下さい。
「セントウェル印刷に関わる全ての人の幸せを実現する」というのが、わが社の理念です。
何かアクションを起こす前に、この理念を前提としているか、というのを考えてから行動しています。
利益を作り、従業員がまず幸せにならないと、周りを幸せにすることはできないと私は思います。
ソーシャルビジネスとして、社会の問題を解決する仕組みを作りたいですね。
例えば、大阪市北区にあるビルの再生です。北区は、アクセスもしやすく、情報インフラの集積が日本一の地域で、人の移住や流動が非常に多いのが特徴です。条件的には、起業するには最高の立地だと思います。
かたや、ビルが古くなり、テナントを募集しているオーナーさんもたくさんいらっしゃいます。
そういったオーナーさんと一緒になってビルの再生を行い、これから起業をしたいと考えている人達を集め、コミュニティーを作り化学反応を起こす。そんなビジネスをしてみたいですね。
○日本を背負う若者へのメッセージ
自分のオリジナリティや積極性を大切にしてほしいですね。
例えばですが、晩婚の理由なども、単に女性の高学歴化から来たものではないのではないかと思います。
「彼氏が欲しい」と思っていても、自分から行動しなかったり、アプローチを起こしていかなかったり。現代の若い子たちは、良い子がとても多いと思います。だからこそ、もう少しがつがつしてもいいと思いますよ。