○幼少~学生時代についてお聞かせ下さい。
生まれは大阪市内、育ちは岸和田です。祖父と父親は高知県出身なので、住んだことはありませんが、土佐が心の故郷と思っています。小中学校では学級委員や児童会の会長をしていました。目立ちたがり屋の、お調子者だったのでしょうね。
父は私が小学校の時に独立し、合板の輸入販売を業としていました。同級生から「社長の息子」などと言われながら暗示にかかり、父の後をいずれは継ぐのが宿命と感じていました。
異文化コミュニケーションを目指して外国語大学を選び、夏休みなどには合板仕入先のインドネシアの工場で現場研修をさせてもらったりしていました。
○社会人(サラリーマン)時代についてお聞かせ下さい。
大学卒業後、すぐに父の会社に入社し、半年後にはジャカルタに赴任していました。ジャカルタでは支店を立ち上げ、仕入先を開拓するという使命を背負い、現地の人を雇って基盤を整えました。花の20代をインドネシアで過ごし、8年間の赴任のあと、結婚を機に30歳で帰国しました。
○経営者としての喜びや苦労についてお聞かせ下さい。
社員さんが成長する姿を見ることが最大の喜びです。自分が担当していた仕事を部下にまかせ、またその部下が仕事をこなせるようになるなど、知識と技術の伝承ができた時は本当にうれしくなりますね。
また、自分が立てた仮説をもとに経営計画を策定し、実行して、よい結果が出た時は格別です。
経営上の苦労は特に感じません。苦労はまだまだ足りず、もっともっと努力を重ねないといけませんね。
○今後の社長自身の目標をお聞かせください。(プライベートでも構いません)
働く人たちが会社と共に成長すること。社員さんたちが会社のことを、やや自虐的ながらも自慢してくれるような会社になりたいものです。私のいないところで「うちは案外いいとこあるよ」とか。
何よりも会社が永続的に成長発展し、100年企業になることが目標です。約60年後の100周年記念イベントで魂だけになった私は、その時の社長の傍らに立ち、スターウォーズのオビ=ワン・ケノービのようにフォースを送りたいと思います(笑)。
○日本の構造問題として改革・改善したいことがあればお聞かせください。
日本はアジアのリーダーを志してほしい。日本固有の崇高な精神文化は世界の尊敬の的となることが、近年証明されたわけです。にも拘わらず、正しいことを伝えたつもりがかえって孤立してしまっている現状。そのために、もっと外に打って出てほしい。発信し続け、win-winの道を探っていくことが重要だと思います。
○御社の仕事の魅力と苦労をお聞かせ下さい。
当社は国内外から仕入れた合板を加工し、半製品として大手建材メーカーに納入しています。また、大手建材メーカーのOEM生産のほか、オリジナルブランドの床材を開発・製造し、独自のルートで販売しています。工場は2ヵ所。大阪・岸和田と佐賀・伊万里の、いずれも木材コンビナート内にあります。
住宅建材メーカー向けの合板加工品は、お客様が何を求められているかを理解し、その要求をしっかり満たしたものを短納期で納入することが使命であると考えています。そのために私たちが取り扱った合板がどのように使われているのか、お客様の工場でどのような工程で、どんな製品になるのかを、実際の作業者に知ってもらうことが重要です。仕入れた材料(合板)をお客様の真に求める姿に変えてお届けする。時に、ご期待以上の何かとともにお届けする。これは決して容易なことではありませんが、一番の仕事の魅力、醍醐味だとも思います。
○御社の強みをお聞かせ下さい。
国産、輸入を問わず、さまざまなところから合板を調達できる能力があります。また、2つの工場、3つの部門が互いに融合し、総合建材メーカーや合板の単純加工とは一味違ったソリューションをお届けできるのでは、と思っています。特に本社のある岸和田は輸入合板銀座ともいうべき立地で、当社の加工設備でお客様の細かい仕様に合わせて再加工したり、輸送などで破損したものを手直ししたりなど、ひと手間かけて価値をよみがえらせる力を持っています。また、伊万里工場ではオリジナル商品の開発が着々と進みつつあります。
○今後、どのような人材が欲しいかをお聞かせ下さい。
「私たちは大地と太陽の恵みを感じ、それらに育まれた木を愛します」という経営理念に共鳴し、木材を活用する事業に誇りを感じてくれる人を希望します。求める人材像は「明・元・素」。明るく元気で素直な人がいいですね。入社していただいたからには、会社がその方の実りある人生のステージとなるよう、ともに成長を誓い、一緒に頑張っていきたいと思います。
○会社としての今後の目標を教えて下さい。
現在、当社は、お客様から定期的に発注していただける仕事が多く、たいへんありがたく思っています。これに甘えることなく、自らが世に問う商品を増やし、新しいお客様を開拓していくことです。
基本的に売上高や組織をただ大きくすることが目標ではなく、お客様にいいものを提供し続けることで、結果として成長発展がついてくることが理想です。既存のお客様には必要不可欠な存在であり続けること。新規顧客には、これまでの期待を超えるような、新しい価値を創造してお届けしていきたいと思います。
○日本を背負う若者へのメッセージ
世の中便利になっているので、横着しようと思えばいくらでもできます。人と会わなくても生きていけるような錯覚もあるのではないでしょうか。しかし、そこに真の成長は期待できないでしょう。自分のことだけで終始せず、「内向きにならず、外に向かって発信していこうよ」と言いたいですね。志を高く、海外にも目を向けてほしいと思います。